物流コストの構成
【物流費の内訳】
物流費を機能別に分類すると、「輸送費」「保管費」「その他」に大別できます。その3つのなかで最もコストが掛かるのは、「輸送費」であり、現在全業種でおよそ60%弱で推移しています。
(社)日本ロジスティクスシステム協会「2009年度 物流コスト調査報告書」によると、2005〜2009年の5ヵ年平均値で輸送費の構成比率は58.3%となっています。
【物流業界の規模】
日本の物流業界全体、つまり陸運、鉄道、海運、航空、倉庫などを合計した市場規模は約26兆円といわれています。そのうち、(社)全日本トラック協会「日本のトラック輸送産業2010」によると、2008年度におけるトラック運送事業の市場は14兆1,605億円であり、物流市場全体の約55%を占めるダントツの存在です。
【トラック運送】
同じトラック協会の資料によると、トラック運送事業の経費で最も構成比の高いのが人件費であることが分かります。2009年度で人件費率は45.2%に上ります。ただ、トラック運送業界の賃金水準は他の産業に比べて低いことも着目すべきでしょう。
つまり、物流コストで一番掛かるのが「輸送費」であり、「トラック運送費」ですが、この部分の大幅カットは容易ではなさそうです。
物流コスト増加のよくある原因とは?
(社)日本ロジスティクスシステム協会の「物流コスト調査報告書(2004年度)」によると、全業種アンケートで物流コストが増加した原因のうち多かったものとして以下の項目があげられています(少ないものは省略)。
- 物流量・取扱量の増加
- 小口化
- 在庫量の増加
- 多品種化
- 緊急・休日配送の増加
これらの中で、「物流量・取扱量の増加」が圧倒的に多いのですが、注目すべきは2番目以降の項目でしょう。セミナーや書籍などでもしばしば見聞きしますが、「小口化」「多品種化」「在庫増加」がポイントになってきています。
他社の物流コスト削減策
同じ日本ロジスティックシステム協会の調査報告書で、「物流コスト削減策の実施状況」について全業種196社の回答結果が表されています。その中で回答数の多い順にベスト10を取り上げてみると、非常に納得できるものが並ぶことがわかります。
- 在庫削減
- 物流拠点の見直し(廃止・統合・新設)
- (輸配送)積載率の向上(混載化・帰り便の利用等)
- (物流オペレーション)保管の効率化
- (物流システム)直送化
- 輸配送経路の見直し
- 輸配送の共同化
- 包装容器の再使用、通い箱の利用等
- 包装の簡素化・変更
- (物流オペレーション)ピッキングの効率化
いかがでしょうか。貴社の実施内容と比べて、異なる点があったでしょうか。